CAN
- 第2回 CANとは -
2014/06/06 公開
前回もチョコッと触れましたが、いまのクルマでは、それぞれの装置をそれぞれのコンピューターが制御しています。
例えればエンジンならエンジンコントロールユニットが、トランスミッションならトランスミッションコントロールユニットが、と言った具合にです。(コントロールユニット: 以下CUとします)
で、それらのCU間を接続しているのがCANなのです。
では、なぜそんなシステムが取り入れられたのでしょうか?
下のアニメーションでは、イメージを掴みやすくするために一部強調して現実とは異なる個所もありますが、まずは見てみてください。「クリック」ボタンをクリックすると進みます。
可哀相にメーター君・・・。ラブラブの彼女を各校の番長に寝取られてしまいました。
学年美人ランキングトップ10のうちの7人くらいは、同級生ヤンキー、先輩ヤンキー、他校ヤンキーに取られるという法則がありましたよね(ホントカヨ?)
ただし、いくらヤンキーと付き合っても、彼女自身がヤンキーにならなければいいのですが、センサー子ちゃんのスカートの裾がだんだん長くなっていったのが気になります。
これだけの数の番長ですから、卒業後は本職になってしまう番長もいるかもしれません。
そうなると、センサー子ちゃんも最終的にはト〇コ風〇に売り飛ばされてしまうのでしょうか?
この人間関係を、クルマの配線図に直すとこうなります。
実際には、ホイール回転センサーからの信号は直接各CUには入らず、メーター経由で送られます。
更に言えば、現在のクルマでは車速信号はメーターではなくABS・CUに入っているはずです。
また、ワイパーやドアロックなどはまとめてボディーコントロールユニット(メーカーによって名称は様々ですが)として統合されているはずです。
ですがここでは、話の流れとしてメーター君を主人公のままにします。
で、ご覧の通り、車速の信号だけでこれだけの配線が必要になりました。
では次に、メーターに表示する様々な情報のための信号線を加えてみましょう。
たとえばタコメーターのためのエンジン回転数信号、水温計のための水温信号、油圧が下がった時に点灯する油圧警告灯のための油圧信号。ABSが不調をきたしたときに表示されるABS警告灯の信号、半ドアを警告するためのドア警告灯のための表示・・・などなどです。
あ~、もうゲンナリしてきました。
でもまだまだです。今度は、各ユニット同士がやり取りしている信号を加えてみましょう。
たとえば次のような信号です。
ATが変速するとき、何もしないとシフトショックが大きいので、その瞬間にTCUはECUに「おーい、変速するから、エンジントルクをちょっとだけ下げてくれ」と依頼します。
ハードにコーナーを攻めているとき、ABS・CU(話の流れでABS・CUとしていますが、今では横滑り防止や発進時タイヤスリップも制御しています)はTCUに「待って待って待って、いまコーナーリング中だから、ちょっとの間だけ変速しないでくれる」と依頼します。
発進時にアクセルの踏み過ぎでタイヤがスリップしたとき、ABS・CUはECUに「あ~っ、タイヤ滑ってるヨ! ちょっとアクセル戻して」と依頼します。
エンジンが冷えているとき、「暖まるまであんまり高いギアは使わないで」と、ECUはTCUに依頼します。
NAVIが「急カーブや料金所が近づいてる」と判断すると、TCUに「シフトダウンしてよ」と依頼します。(ごく一部車種のみ)
で、こういったCU間のやり取りの信号線を加えると・・・
こりゃアンマリだ!
でもご心配なく。そう思ったのはオッサンだけではありません。
もちろん、これだって実際のクルマに使われている配線のゴクゴク一部でしかありません。
クルマ一台分となると、どれだけ複雑で、長い配線が必要かわかったものではありません。
どげんかせんとイカン!
と、ボッシュの人も思ったはずです。
ボッシュとは、ドイツのロバート・ボッシュ社のことで、クルマの新しい技術は大体ここが発祥地と言っても過言ではありません。インジェクション、ABS、VDC、コモンレールディーゼル・・・などなど、「おっ、ナンかスゲーな」と思うのは大体がボッシュ発だったりします。
で、ボッシュの人はチョー複雑な配線図を見て考えた。配線をこうしちゃえ、と。
いや~、さっぱりしました。
えっ、どうしてこれで星の数ほどの信号をやり取りできるのか? ですって?
それは次回に続きます。
続く
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