4WDのまとめ その2
2018/9/25 公開
クロカン4駆以外の4WDといえば、スバル・レオーネです
世界初の「ジープタイプではない量産4WD」として、1972年に登場しました。
クロカン4駆以外の4駆では、
なんとスバルが世界的にも先駆者だったのです!
正直、知りませんでした。
ドーセ、欧州のドコかのメーカーの二番煎じだと思っていたのですが、
やるな、スバル!!
ただし、と言うか、当然のことと言うか、レオーネの4WDは、FFと4WDをセレクトレバーで使い分けるシステムでした。
つまり、コレ↓です。
乗用車 + 4WD は世界初ではありましたが、降雪地方等での実用車であったわけです。
それから8年後、アウディがクワトロを発売します。
このクワトロ、クロカン4駆やレオーネと決定的な違いがあります。
それがコレ↓
2WDと4WDを切り替えるレバーがありません。
と言うことは、アウディ・クワトロでは、泣こうが喚こうが、もうFFには戻れない、正真正銘のヨンクなわけです。
ただし、前回の「4WDのまとめ 1」にあるよう、このままではドコかの1輪が完全にスリップしてしまうと困るので、このボタンもついていました。(実際の意匠は異なりますが)
レオーネやクワトロなどのクロカン4駆以外の4WDが出回り始めた当初、クワトロ式の常時4駆を「フルタイム4WD」、レオーネ式の必要に応じて4駆にできるものを「パートタイム4WD」と呼んでいました。
ナンだ、2WD⇔4WDの切り替えレバーをなくしただけじゃん!
そう、たしかにおっしゃる通り、機構的にはこれまでの4駆とさほど違いはありません。
しかし、これまで悪路を走破するための4輪駆動を、舗装路でも使うという考え方が、画期的だったのです。
例えば大出力エンジンの2WD車では、アクセルを全開にしてクラッチを繋ぐと、盛大にホイールスピンを起こし、クルマはちっとも前に進みません。
ですが、この大出力を4輪で分担すれば各タイヤはグリップを失うことなく、クルマは脱兎のように飛び出すのです。
ならば、ゼロヨンやゼロヒャクも4WD車はソートー速いに違いない。
ワクワクしながらググってみました。
同一車種で2駆と4駆があるといえば、むかしからポルシェ 911です。
2018年式 | カレラ(後輪駆動) | カレラ4(4輪駆動) |
0-100km/h加速(秒) | 4.6 | 4.5 |
・・・アラ?
0.1秒差・・・?
ちなみにエンジン出力はどちらも370PS/450Nm・・・。
こんなはずでは・・・・
イヤ、分かりました!
きっとエンジン出力が足りないのです。
370PS程度では、あの極太タイヤと、加速時にはリアに強力なトラクションのかかるRRでは、差が出ないのです、タブン・・・。
なので、もっと高出力なGTSで見てみましょう。
こちらは450PS/550Nmです。
2018年式 | カレラGTS(後輪駆動) | カレラ4 GTS(4輪駆動) |
0-100km/h加速(秒) | 3.7 | 3.6 |
・・・・・
イヤ、分かりました!
現代のクルマは、様々な電子制御デバイスが付いているので、発進時にホイールスピンしないような制御をしているに違いありません、タブン・・・。
なので、そんな電子制御が付いていない頃の911なら・・・
964型 | カレラ2(後輪駆動) | カレラ4(4輪駆動) |
0-100km/h加速(秒) | 5.7 | 5.5 |
ヤッター!!
やっぱり、電子制御の付いていない頃は・・・って0.2秒差・・・
ちなみにソースは
コチラ。
2駆と4駆で年式は1年違いますが、出力はどちらも250PSです。
モー、ホントに分かりました。
発進加速時に駆動輪であるリアタイヤにトラクションがかかる後輪駆動車では、そんなに差が出ないのです。
であれば、信号待ちから発進するときに、ちょいとアクセルを踏みすぎちゃうとギャギャギャとホイールスピンしてしまう前輪駆動車なら、大きな差が付くに違いありません!
一縷の望みを託してググってみました。
同一車種でFFと4WDがあるといえば、アウディです。
対象は2004年から2008年のA4です。
| 2.0 TFSI (前輪駆動) | 2.0 TFSI quattro (4輪駆動) | 出力 (両車とも) |
0-100km/h加速(秒) | 7.1 | 7.2 | 200PS/147kW |
| 2.0 TFSI (前輪駆動) | 2.0 TFSI quattro (4輪駆動) | 出力 (両車とも) |
0-100km/h加速(秒) | 7.0 | 6.9 | 220PS/162kW |
| 3.2 V6 FSI (前輪駆動) | 3.2 V6 FSI quattro (4輪駆動) | 出力 (両車とも) |
0-100km/h加速(秒) | 6.8 | 6.4 | 256PS/188kW |
ウ~む・・・微妙すぎる結果となりました。
200PSのグレードでは4駆の方が遅く、220PSのグレードでは0.1秒だけ4駆が速く、256PSのV6エンジン搭載車でよーやく、4駆の方が結構速いよ・・・というレベルです。
ちなみにソースは
コチラ。
そりゃ、ゼロヨンやったら圧倒的に4駆だろ!
と、信じていたのは都市伝説・・・とまでいかなくても、相当の条件付きであることを、いま知りました(涙
でも、ダイジョウーブ!
フルタイム4駆のメリットはゼロヨンだけではありません。
それは、矢のような直進性です。
高速道路を走行中、4つのタイヤすべてにクルマを前に進めようとする力が加わっているので、たとえ路面に凸凹があろうが、強い横風にあおられようが、クルマは2輪駆動車よりずっとまっすぐ進むのです。
実はワタクシメ、某海上を渡る長い橋を走る機会が結構あります。
海上なので風が強く、速度制限がかかることはしばしばで、ときに強風により通行止めになることもあります。
で、以前に所有していた4WD車と現在のFF車(ともにセダン)を比較してみますと・・・正直、ワタクシメ程度だと、よくわかりません(涙
そもそも、何年も前に所有していた4WD車ですから、現在所有のクルマと同条件で比較できませんし、たとえ同時所有でも車種が違えば、純粋に4WDのメリットがどの程度あるのかを語る資格はありません。
さらに言えば、強めに横風が吹けばすぐに50㎞/h制限とかがかかってしまうので、本当の悪条件でどのくらいの差があるのか・・・。
さらにそもそも、今日日、ある程度以上の大きさのセダンで、高速道路でまっすぐ走らないと不満が出るようなクルマがあるのでしょうか・・・?
あっ、でも、誤解しないでくださいね。
けっして、4WD車をディスっているわけではありません。
私はあまり経験がありませんが、大雨とか、大風の日に、ナン百キロも高速道路を運転しなければならないような状況では、きっと走り終えた後の疲労感に大きな差がでるのではないかと推測する次第であります。
経済的に成功したオッサンがよく腕にはめているロレックス。
ほとんどのモデルが、100m防水になっています。
ドコのドイツが、ロレックスはめて100m潜るんだよ!
というツッコミは却下です。
必要であろうがなかろうが、高性能こそが高価格の源泉なのです。
ダンダンわかってきました。
降雪が多い地方以外でフルタイム4WD車を所有することにメリットを感じるヒトは
- 0.1秒短縮に血眼になるヒト
- ♪ア、ハンドレッド マ~イルズ ♪ア、ハンドレッド マ~イルズ ♪ア、ハンドレッド マ~イルズ と口ずさみながら、雨だろうが風だろうが、遠くまで行くヒト
- 特に必要なわけではないけど、高性能なクルマを所有する願望のあるヒト
モノゴト、メリットがあれば、必ずデメリットがあります。
フルタイム4WDのデメリットは、
まず重い。
FF2WD車をベースにした4WD車では、前後に動力を分配するトランスファー、プロペラシャフト、リアデフ、リアドライブシャフトと、重い部品がいくつも必要になります。
重ければ、当然遅くなります。
前述の200PS仕様のアウディA4で、4WD車の方が遅いのはコレが理由だと推察できます。
そして燃費だって悪い。
重いだけが理由ではなく、それらの重い部品をエンジンで回さなければならないのですから、さらに悪燃費になるはずです。
前述の2004~2008年アウディA4は燃費データーを探すことができませんでしたので、常時4WDのもう一方の雄、スバルで比較です。
スバル インプレッサ 2.0 |
| 2WD | 4WD | 4駆燃費 / 2駆燃費 | エンジン型式 (両車とも) |
JC08モード燃費(km/L) | 17.0 | 16.8 | 98.8% | FB20 |
スバル インプレッサ 1.6 |
| 2WD | 4WD | 4駆燃費 / 2駆燃費 | エンジン型式 (両車とも) |
JC08モード燃費(km/L) | 18.2 | 17.0 | 93.4% | FB16 |
あ、あら・・・?
重い部品を積んで、さらにそれらを回すのだから、さぞ悪燃費かと思いきや、2.0Lエンジン車ではほぼ同等。16Lエンジン車でも93.4%・・・?
ウ~ム・・・何かがヘンだ・・・
ナンとなく腑に落ちないので、もう一車種。
ポルシェ 911カレラ(PDK) |
| 2WD | 4WD | 4駆燃費 / 2駆燃費 |
WLTC(L/100km) | 7.4 | 7.7 | 96.3% |
ポルシェ 911カレラ GTS |
| 2WD | 4WD | 4駆燃費 / 2駆燃費 |
WLTC(L/100km) | 8.3 | 8.5 | 98.3% |
再度、あららら・・・?
そりゃ~ヨンクだからね。ネンピはワルイよ~!
と信じて疑わなかったワタクシメですが、どうやら認識を改めなければならないようです。
4WDのもう一つのデメリットは「曲がらない」こと。
いわゆる、「アンダーが強い」です。
そりゃ、ソーだ。
高速道路で、矢のような直進性でカッとんでいくのですから、「まっすぐ進む」 イコール 「曲がりにくい」のです。
しかしながら、この点については、ワタクシメに語る資格はありません。
アンダーステアやオーバーステアを打ち消してくれる有難いシステム・VDCが搭載されるようになる以前のスポーツ4駆・・・乗ったことがありません(涙
・・・いやっ、ありますゾ!
2代目レガシィになって初めてTRCが付いたと記憶しているので、おそらく初代レガシィには当然VDCはついてなかったことになります。
となれば、ワタクシメも、電子デバイスのついていない生4駆を運転したことがあります!
ただし、他人様のクルマだったので、コーナーの立ち上がりでアクセルペダルを床まで踏んだことはありません(涙
で、ワタクシメが誰に気兼ねなくアクセルペダルを踏み込める4駆を所有したのは4代目レガシィで、この頃にはVDCがついていた上に、舗装路でコレがグリップを失うような運転をしたら間違いなく死ぬな、というほど太いタイヤがついていました。
ですので、ワタクシメの心臓が許す範囲では、アンダーステアどころかアクセルペダルを踏み込めば踏み込むほどグイグイ曲がっていく有様で、アレがアンダーだったのかオーバーだったのか・・・わかりかねます(ショボン
なのでココからは完全なる耳学問。
30年前・・・と書いて愕然とするほど時間が経っておりますが、とにかく30年前の自動車雑誌には、スカイライン GT-R(R32)はアンダーが強い、と書かれていたと記憶しております。
アウディ クワトロが1980年ですから、1989年のR32 GT-Rだって、スポーツ4駆としては十分黎明期の登場です。
その黎明期から現在に至るまで、ナニが変わったかと言えば、ズバリ「制御」です。
初代のアウディ クワトロのシステムでは、直進していようが曲がっていようが、減速していようが加速していようが、コーナー進入時であろうが脱出時であろうが、前後輪に配分されるトルクは一定です。
でも、それじゃあダメなんです。
何故、ダメなのか?
それは次回に続きます。
ちなみにアウディ クワトロ、1987年のマイナーチェンジで、手動デフロック式のセンターデフを、トルセンデフに変更しました。
このクワトロがどのタイプのトルセンを採用したのかは分かりませんが、トルセンデフの原理は
コチラを参照してください。
続く
|
TOPへ戻る