4WDのまとめ その1

2017/12/22 公開

jeep
多くのオッサンにとって、4WD車の原風景といえばシープではないでしょうか?
パジェロもレオーネもない子供時代、悪路を走るのはコレでした。
ただし、ジープはジープでも、国内で見かけたジープのほとんどはウィリス社製ではなく三菱がノックダウン生産したものだと思います。
いたいけな少年であったワタクシメには4WDなんて言葉を知るよしもありませんでしたが、でも悪路を走るならコレだ! くらいの印象は持っておりました。
そして時代は流れバルブの頃です。
ワタクシメには三菱ジープに強烈な印象があります。
とある初夏の日、ワタクシメは愛車ユーノス・ロードスターのトップを下ろし、右折車線のあるT字路で信号待ちをしておりました。
焼鳥屋のテントがあるスーパーが角にある交差点です。
聞きなれない排気音がして横に目をやると、右折車線に並んだのは三菱ジープ。
お互い屋根のない車ですから、当然、視線が合います。(向こうはドアすなない!)
するとどうでしょう。
助手席にはセミロングに、大きなミラーレンズのサングラスの女性。
顔の下半分(歯科医など)、または顔の上半分(スキー場など)を隠すと、日本人女性の7割は美人に見える法則(当社調べ)によって、その女性も飛び切りの美人に見えました。
視線を下に移せば、オフホワイトのタンクトップ。
そして超短いデニム地のホットパンツ(死語)。
ホットパンツからはこんがり小麦色のスラリとした御御足が伸びておりました。
車高の低いロードスターからワタクシメは見上げ、車高の高いジープから見下ろす彼女との無言のアイコンタクトはどのくらい続いたのでしょうか。
そう、お互いサングラスをしていて瞳の動きこそ見えませんでしたが、間違いなく目が合っていたのです。
やがて信号が青になり、ジープの運転手はそんな出来事とは無縁にクラッチをつなぎ、スーパーのT字路を右折していきました。
そして、あまりの刺激的な光景に我を忘れていたワタクシメが、後続車にクラクションを鳴らされたのは言うまでもありません。

あの数秒間のアイコンタクト、当時でこそ無言の見つめ合いでしたが、
今なら彼女はこう言ったはずです。

ワイルドだろ~ゥ

ちょっと古い・・・(涙


閑話休題
4WDの話です。
もっとも単純な4WDシステムは以下のようなものです。


簡単ですね。 エンジン・ミッションから出力された動力は、トランスファーで前後に分配され、それぞれ前後プロペラシャフト・デフを経由して4輪のホイールに伝えられます。
しかしながら主に2つの理由から、実際にこのようなシステムを使っているクルマはないと思います。
一つ目は燃費です。
悪路では必要な4WDでも、舗装路などでは2WDで十分です。
となると舗装路では前輪を回すのは無駄な仕事となり、その分燃費が悪くなります。
二つ目はタイトターンブレーキング現象。
カーブを曲がっているとき、内側のタイヤと外側のタイヤに回転差が生じるのはもう言うまでもありませんね。
この回転差は、デフが吸収してくれます。
デフの作動についてはコチラを参照してください。

また前後タイヤにおいても、とくに車庫入れ時のように大きくハンドルを切ったときには、回転差が生じます。
上記のような4WDシステムでは、この前後の回転差を吸収してくれる装置がないので、ドコかでダレかが回転差を吸収しなければなりません。
悪路ではタイヤは滑ることができるので、路面とタイヤが滑ることでこの差を吸収します。
舗装路では、そう簡単にタイヤは滑らないのでちょっと厄介です。
ワタクシメは、このタイトターンブレーキング現象を軽トラ4WDで体験しました。

1速にいれて、ハンドルをいっぱいに切ってクラッチをゆっくり半クラッチにすると、軽トラは進もうとせずエンジン回転が下がります。 エンジン回転を上げて無理やり発進すると、ブチッブチッと断続的に前輪が滑りながら進みました。
軽トラのタイヤなので滑りましたが、超ハイグリップの超ブッ太いタイヤに換えれば、おそらくクラッチが滑り、クラッチが滑らなければエンストすることでしょう。

これでは不便でたまらないので、4WDと2WDを切り替えられる装置を付けました。
シフトレバーのそばに設けられたセレクトレバーをガコッと動かして切り替えます。


これで、舗装路では2WDになり燃費もよくなり、タイトターンブレーキング現象も回避できます。
上述のジープも、軽トラ4駆もこのシステムを採用しています。

そりゃあ、さあ~、軍用車とか働くクルマならイイだろうけど、スキーに行くときはドーすんのよ!

九十九折れの峠道は、場所によっては乾いた路面、場所によっては凍った路面。
路面状況が変わる度に4WDと2WDの切り替えをしなきゃならんのか!

なるほど、おっしゃる通りです。
そんなことをしていたら、いつまでたってもゲレンデには到着せず、芝浦ゴールドでナンパして、ヨーやくスキーに連れだしたワンレンねーちゃんの機嫌は悪くなる一方なのです。

で、ワンレンねーちゃんの機嫌を損ねないために自動車メーカーの人が考え付いた(かどうかは知りません)のが、「左右輪の間に入れていたデフを前後のプロペラシャフトの間に入れちゃえ!」です。


コレで、セレクトレバーを4WDに入れっぱなしでも、ワンレンねーちゃんをイラつかせることなく、凍結した峠道を越えてゲレンデに到着できるわけです。

しかしこれで十分かと言えば、そうでもありません。
上のリンクしたデフのページにあるよう、左右輪の間に設けられたデフでは、片輪が完全にグリップを失うと、エンジンの力のすべてがスリップしているタイヤに伝わり、クルマは1mmも前に進みません。
当然のことながら、同様な現象が前後輪の間のデフでも起こります。

まず、2WD車で考えてみましょう。
駆動輪の一輪が氷の上で完全にスリップした場合です。


エンジンの力は、スリップしている右輪に100、左輪に0です。
当然、クルマは発進できません。

でも、ヨンクなら安心!
1コ、タイヤが滑ったところで、ボクのはね、ヨンクなんだよ・・・
とは、残念ながらならないのです。

左右輪のどちらかが完全にスリップすると、スリップしたタイヤにエンジンの力のすべてが伝わってしまうのと同じことが、前後間でも起こってしまうのです。
lockSW_center
でも安心してください。
アナタのヨンクには、こんなスイッチが付いているはずです。
このスイッチをポチっとな、と押せば、センターデフは機械的にロックされて、センターデフがないのと同じ作動になります。


エンジンの力は、まずセンターデフで、前輪50、後輪50に分けられます。
ドコのどのタイヤがスリップしようが、容赦なく50:50です。
上のロックしていない状態同様に、スリップしている後右輪には、後輪に振り分けられた50が伝わってしまいます。
しかし、前輪に振り分けられた50は、左右それぞれに25ずつ振り分けられて無事に路面に伝わり、クルマは発進することができます。

メデタシ、メデタシ。
もう、ゲレンデは目の前です。

が、試練はまだまだ続きます。
トイレに寄った峠のドライブイン。
運悪く、駐車したのが、右側の前輪後輪もカチンカチンに凍った氷の上。
用を済ませて、「さあ、あと少しで到着だ!」
と、アクセルを踏んでみたものの・・・


ロックされたセンターデフが、せっかく前輪側にエンジンの力の半分を振り分けても、その先のフロントデフで、すべての力がスリップしているタイヤに伝えられてしまうので、ヨンクは発進できません。

でも、まだ大丈夫!
lockSW_rear
今度は、こんなスイッチを探してください。
運が良ければ、アナタのヨンクのダッシュボードのどこかにあります。(無いクルマもたくさんあります)
このスイッチをポチっとすれば、リアデフがロックされ、エンジンの力の1/4が左後輪に伝わり、なんとか脱出できるわけです。

そしてもし、左後輪も凍った路面の上だったら・・・
lockSW_front
安心してください。
ダッシュボード上のこのスイッチを押せば・・・・
とは言うものの、フロントデフロック機構を持ったクルマは、そうそう見当たりません。
昔のランクルにはオプションであったようですが、まあ、年に数回のスキー旅行用に、そのオプションを選ぶかどうか・・・
ですので、運悪く4輪のうち3輪を凍った路面の上で駐車してしまったら、ワンレンねーちゃんに押してもらうか、それがかなわなければJAFを呼ぶしかありません。

とは、言うまでもなく、広瀬香美とかZOOの頃の話で、今ではナンでも電子制御。
ドライバーが「滑った!」と気づく前に、ブレーキ力とかエンジントルクを調整して、安心して発進できるのです。



と、ここまではクロカン4駆の話。
パジェロとか、ランクル、ハイラックス、サファリ、テラノの話でした。
次回からは、クロカン4駆ではない普通の乗用車の4駆の話です。
しかしこの普通の4駆、構造、作動、生い立ち等々、まさに百花繚乱。
ウマくまとめてお話しできる自信が・・・
とりあえず、次回に続きます。

続く


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