日産 ダイレクト アダプティブ ステアリング
- 第4回 ステア バイ ワイヤ -
2014/08/20 公開
大変お待たせしました。
ようやくステア バイ ワイヤの話になります。
日産の商品名は、ダイレクト アダプティブ ステアリング。
2014年、スカイラインに搭載されました。
ググってみたのですが、スロットル バイ ワイヤが始めて量産車に採用されたのがいつであったのかを見つけることが出来ませんでした。
ワタクシメの記憶によりますと、90年代の初頭であったはずです。(違っていたらスミマセン)
で、世界初のブレーキ バイ ワイヤは2001年のエスティマから。
それからステア バイ ワイヤの登場まで14年かかったわけです。
なぜ、こんなに遅くなったのでしょうか・・・
さて、このステア バイ ワイヤ、スロットルやブレーキと根本的に異なる条件が求められます。
スロットル バイ ワイヤの場合、アクセルペダルの「踏み応え」を人為的に作る必要はありませんでした。
それまでの機械式同様、アクセルペダルにスプリングを付けておけばよかったのです。
ペダルを踏めばスプリングが伸び、離せばスプリングの力でペダルは元の位置に戻る。
ブレーキ バイ ワイヤでは、もうすこし要求が高くなります。
回生ブレーキが作動して、油圧ブレーキが作動していない状態でも、ドライバーに油圧ブレーキが作動しているような感覚を与えなければならないのです。
トヨタの場合、ストロークシミュレーターを追加しました。
ブレーキキャリパーではないのに、ブレーキキャリパーのように振る舞うモノです。
これでドライバーは、あたかも油圧ブレーキのペダルを踏んでいるかのように騙されるのです。
アクセルの場合もブレーキの場合も、どちらともドライバーの操作に対する反力です。
ところがステアリングの場合、それだけでは足りません。
たとえば、けっこうなスピードでカーブを曲がっているときに途中から路面が濡れていると、スコッとハンドルが軽くなります。
また、凸凹のある路面なら、振動として凸凹はハンドルに伝わってきます。
高級な紙質の自動車雑誌では、これを「ステアリングに伝わる路面からのインフォメーション」などとカッコよく呼びます。
まだ他にもありますが、ハンドルには前輪と路面の関係やクルマの挙動が常に伝わってきているのです。
ところがバイ ワイヤ化し、ハンドルと前輪が機械的に切り離されてしますと、これらの情報が伝えられません。
そうなってしますと、運転手としてはバリバリに違和感を感じるわけです。
そこで日産のエンジニア氏は考えた。
路面からの反力を人為的に作り出そう
と。
まずは、システムの概略図を見てください。
イグニッションスイッチがOFFの時や、故障時のためにステアリングシャフトが存在しますが、作動時にはクラッチが切れてバイ ワイヤとなります。
- ステアリングセンサーがドライバーのハンドル操作量・操作速度をコントロールユニットへ出力する
- コントロールユニットは入力信号を基に演算し、ステアリングモーターを作動させる
- ステアリングモーターに加わる反力をセンサーで検知し、コントロールユニットへ出力する
- コントロールユニットは反力量を演算し、反力アクチュエーターを作動させる
- ドライバーは反力アクチュエーターがハンドルに加える力を、路面からの反力として認識する
このステア バイ ワイヤ、どのようなメリットがあるのでしょうか?。
- 前にも書きましたが、凸凹道を走っているとき、その凸凹がハンドルに伝わりません。
これは路面からの反力のうち、不必要なものは運転手に伝えないという考えからこうしているそうです。
- トヨタやVWでは、クルマの速度によって、ハンドルへの入力と出力を変えているものがあります。
たとえばハンドルを1/2回転させたとき、低速時にはタイヤをたくさん曲げ、高速時には少ししか曲げない。
バイ ワイヤ化で、こういったことが簡単にできます。
- 横風や路面の傾きによって生じる進路の乱れを、クルマ側で修正してくれる。
などなど。
さて、一番上の方で書いた疑問、「何故ステア バイ ワイヤが実用化はこんなにも遅れたのでしょうか?」についてです。
実は、前回のブレーキ バイ ワイヤもハイブリッド車以外の採用例を聞きません。
スロットル バイ ワイヤはほとんどのクルマで使われているにもかかわらず、です。
と、いうことは・・・答えは
イラネエんじゃね?
となってしまうのではないでしょうか・・・
続く
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