日産 ダイレクト アダプティブ ステアリング

- 第1回 フライ バイ ワイヤ -

2014/06/27 公開

ヒコーキの話をいたします。
クルマの場合、クルマの運動のすべてはタイヤと路面の摩擦に依存しています。
厳密に言えば、タイヤと路面の間には常時スベリが生じているそうですが、ここではムズカシイ話は放っておいて話を進めますので、ご了承を。

路面が状態の良い舗装であれば、無理な運転をしない限りタイヤと路面との間にスベリはありません。
タイヤの外周が1mであれば、タイヤが一周するとクルマは1m進みます。
ところが、路面がアイスバーンだったり、ドリフトするような運転をするとそうもいきません。
サマータイヤのまま凍てついた道を運転することを想像してみてください。
もちろん、オッサンがハンドルを握るクルマには、ABSもトラクションコントロールもついていません。
発進時にはアクセルを踏めども踏めどもタイヤが滑って車は前に進まないでしょうし、ブレーキをかけたままハンドルを切ってもクルマは真っ直ぐ進みます。

さて、そこでヒコーキです。
不詳ワタクシメ、ヒコーキなど運転したことはありませんので、聞きかじった話だけをモトに進めさせていただきます(汗

ヒコーキの場合、ヒコーキの運動を支えるのは空気です。
ああ、なんという言葉でしょうか。
「私にとって、アナタはもう空気みたいな存在なの」
つまりオトコとしては見ることは出来ないという、やんわりとした拒絶の回答です。
「あのオッサン、空気読めないよな~」
若いコたちは、陰でワタクシメのことをこう非難します。
そう、このワタクシメにとって、空気という言葉はネガティブな意味合いしか持っておりませんが、あるのかないのか分からないモノ、それが空気です。

でヒコーキは、その空気に自らの運命を託しているのです。ア-オソロシヤ
アイスバーンなんかよりずっと頼りない空気に支えられているヒコーキは、おかげで常にドリフト状態です。
もうちょっと具体的に言うと、機首の向いている方向と、進んでいる方向にズレが生じているのです。
(ただし、規定の重さ、規定の速度で飛んでいるときにはズレが最小限になっているはずですが、それは燃費などを考慮してそういうふうに設計されているからでして、ここでは話から除外します)

747 空港の展望デッキに行ったことがあるでしょうか?
海外旅行・出張に出かけるときの待ち時間潰し
友人や家族の送り迎え
そして自分の夢を追うために海外へ行ってしまう彼女の見送り・・・

浜田省吾は歌いました。

妹と暮らすつもり、しばらくニューヨークで~♪

洋楽で言えば、ポール・ヤングのEvreytime you go awayも捨てておけません。
目を閉じれば、彼女を乗せて離陸するボーイング747の後ろ姿が瞼に浮かびます。


JR 正直申し上げれば、ワタクシメ、こんなにカッコいい経験をしたことはございません。
しかしながら、東京駅の新幹線のホームで、遠くに行ってしまう彼女を見送ったことはございます(エヘン

JR東海の、シンデレラ・エクスプレスとか、クリスマス・エクスプレスのテレビCMはよかったですよね~
横山めぐみチャン、可愛かったッスよねェ~。
今見ても胸がキュンキュンしちゃいます。
いまだに新幹線のホームに行くと、2回に1回は

シンデレラ~いま、魔法が~♪

と口ずさんでしまうとは、恥ずかしくて口が裂けても言えません。

でも、リンクは貼っちゃいます。

リンクは貼りますが、絶対戻ってきてくださいね。
懐かしさのあまり、オッサンは見入ってしまうとは思いますが・・・



JR東海のCMから戻って来てくださったオッサン、ありがとうございます。

行ったきりじゃないかと、心配しました。

さて、話を展望デッキに戻します。
着陸するヒコーキを見ていますと、着陸ですので当然高度を下げているわけですが、機首は上を向いています。
また、強い横風の日などは、機首は上を向いているうえに、さらに風上に向けて横を向いています。
クルマで言えば、直ドリの状態です。
動画サイトで検索すれば、たくさんの動画が出てきますので、是非探してみてください。
これは極端な状況ですが、このように、ヒコーキの進行方向と機首方向は常にズレているのです。

audi_rally 大変お待たせしました。
ようやくフライ バイ ワイヤの話です。
この常にドリフト状態のヒコーキ、運転が大変です。
そりゃそうです。
免許取りたての初心者にも、こんなかんじで -->
アイスバーンでドリフトしろと言っているようなものなのですから。

進行方向を決定するには、クルマはステアリングだけですが、ヒコーキはエレベーターとエルロン、ラダーの3つの補助翼を使います。
補助翼とは、翼の一部の可動する翼です。
この3つを、ワタクシメの大好きな英・スピットファイアーを用いて説明しましょう。

  • エルロンは主翼の左右に一対あり、機体を左右に傾けます。
  • エレベーターは水平尾翼の左右に一対あり、機体を上下に傾けます。
  • ラダーは垂直尾翼にあり、機体を左右に回転させます。
言葉で説明するより、上のイラストの各ボタンをクリックしてもらった方が早いですね。
たとえば右に旋回する場合を考えてみましょう。
パイロットは操縦桿を右に倒してエルロンを操作し、機体を右に傾けます。
同時に、右のラダーペダルを踏んでラダーを操作し、機首を右に向けます。
機体が右に傾くため主翼の揚力が減り、高度が下がります。
それを防ぐために操縦桿を手前に引きエレベーターを操作して機首を上げ、高度の低下を防ぎます。
高度を上げる(下がるのを防ぐ)と速度が落ちるので、スロットルを操作して速度を上げます。

どうでしょう。ただ右に曲がるためだけに、これだけの操作を調和させながら行うことが必要なのです。




f16 そこでアメリカ空軍の人(タブン)とジェネラル・ダイナミクス社のエンジニア氏は考えた。
そんなに運転が難しいなら、コンピューターにやらせよう、と。

で、1974年に誕生したのがジェネラル・ダイナミクスF-16です。
世界初の、フライ バイ ワイヤ機です。


【 これは広告です 】

ワタクシメが開発に参加した、自動車整備士資格取得のための
Web教材「i-Tasu」の宣伝です。

i-tasu_1 i-tasu_2 i-tasu_3

i-Tasuは教育機関向けなので、このサイトを覗いていただいている読者方々の大部分にはあまり関係がないかと思いますが、

「ふーン、こんなのもあるんだァ」

くらいに思っていただけると幸いであります。

続く


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