マツダ SKYACTIV-D (SH-VPTR型エンジン)
- 第3回 ディーゼルエンジンの排ガス -
2014/05/31 公開
2016/05/28 改稿
右の画像を見てください。オッサンなら覚えているはずです。
平成12年、当時の石原東京都知事がペットボトル入りのディーゼル煤煙を撒いて見せ、ディーゼル車の排ガスは汚いと規制を強化しました。
そう、ディーゼルエンジンからはCO、HC、NOXに加え、煤煙もタップリ出てくるのです。
この煤煙、文字通り軽油を燃やした煤です。
大丈夫、心配すんな! 我々には三元触媒様様があるじゃないか!
・・・いえ、ちょっと待ってください。
三元触媒がキレイにしてくれるのはCOとHC,NOXだけで煤煙はスルー。
つまり何も対策しなければ、煤煙はダダ漏れと言うことになります。
それに問題は煤煙だけではありません。
第1回目を思い出してください。
ディーゼルエンジンは、メチャクチャ薄い混合比で運転しているのです。
ディーゼルエンジンは上の図の点滅部分で軽油を燃やしているので、HCやCOはキレイにしてくれても、NOXはゼンゼン浄化してくれないのです。
神様からの贈り物である三元触媒は、ディーゼルエンジンでは役に立たなかったのです。
ディーゼルエンジンはどうやって排ガスをきれいにしているのかと言えば・・・
もう、浄化装置の叩き売りみたいになっています。
排気ガス後処理装置のオンパレードです。
ちなみに、比較のためにガソリンエンジンの触媒配置を見ると・・・
ディーゼルエンジンが、どれだけ排気ガスの浄化に手を焼いているのかがわかりますね。
それでは、ディーゼルエンジンの排ガス浄化装置を1コずつ見ていきましょう。
- まず酸化触媒です。
三元触媒は、酸化作用と還元作用を持ちますが、その酸化作用だけを行うのが酸化触媒です。
三元触媒のグラフを見ていただければ、ディーゼルエンジンの薄い空燃比でも、COとHCは浄化されます。
- NOX吸蔵/還元触媒
酸化触媒はNOXは完全スルーですから、NOX浄化のために別途触媒を用意しなければなりません。
でもNOXはCOやHCのように、単純に触媒を通せばキレイになるというものではないのです。
そのため、普段はNOXを触媒内に吸蔵させ、いっぱいになったら空燃比を濃くして溜まったNOXを処理してやる、などの制御が必要となります。
- 尿素SCR
NOXを浄化します。
触媒内に尿素水を噴射し、NOXと化学変化させてキレイにします。
当然、尿素水タンクを備えていて、定期的に尿素水を補給しなければなりません。
この二つのNOX浄化装置のうち、NOX吸蔵/還元触媒はコストが安いけど性能イマイチ。
尿素SCRは高価だけど、性能バッチリです。
したがいまして、尿素SCRはメルセデス・ベンツやBMW、ジャガーなどの高額なクルマに使用され、それ以外はNOX吸蔵/還元触媒という傾向があるようです。
ちなみにココ | に詳しく書きましたが、問題になったフォルクスワーゲンはNOX吸蔵/還元触媒を使用していました。
- DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)
煤煙を絡め取るフィルターです。フィルターが詰まると、コンピューターが判断して軽油を余計に噴射し、溜まった煤を燃やしてフィルターを再生します。
人生の辛酸をナメ尽くしたオッサンは知っているはずです。
神様(つまり運)に見放されたとき、どんな苦難が待ち受けているかを・・・
そう、バケ学の神様はディーゼルエンジンには微笑まなかったのです(涙
おかげで、こんなにも余計なモノをつけるはめに・・・
で、マツダのエンジニアは考えた・・・
続く
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