マツダ SKYACTIV-D (SH-VPTR型エンジン)
- 第6回 EGRってなによ? -
2014/05/31 公開
2016/05/28 改稿
東京都江東区にある夢の島公園と言えば、熱帯植物館あり、芝生の広場あり、バーベキューができ、そしてマリーナがあります。
天気の良い休日、ワタクシメは芝生の広場でコンビニ弁当を広げ、経済的に成功したオッサンは自慢のクルーザーで東京ベイクルーズに出かけます。
この夢の島とゴミの山がつながる方は、もうそれなりの年齢に達していることに間違いがありません。
ググってみたら、ココがゴミの最終処分場であったのは昭和42年までだそうで・・・・、となると年代的にワタクシメに記憶が残っているはずがないのですが・・・
記憶に残っている夢の島のゴミの山のニュース映像はなんだったのでしょう?
別の最終処分場であったのか、ドキュメンタリー番組であったのか・・・
さすがに半世紀近くも生きていると、どの記憶が事実で、どの記憶が虚像かだなんて、てんでわかりません。
もう50年近く前のこととはいえ、夢の島公園の地下にはゴミが眠っていて、しかしそれらのゴミは不要物ではなく、夢の島公園を支えているわけです。
一体何の話だよ?
と問われれば、EGRです。
廃棄物をウマく再利用しようって話なのです。
Exhaust Gas Recirculationの頭文字をとってEGR。
日本語では排気ガス再循環です。
なんと今のクルマ、というかだいぶ昔からですが、エンジンから出た排気ガスをもう一度エンジンに戻しているのです。
人間に喩えればオシッコ健康法です。
このオシッコ健康法、賛否はあるでしょうが、すくなくとも最初は「オエッ!」となること間違いないでしょう。(ちなみにワタクシメはやったことがありません)
クルマのエンジンが「オエッ!」と言っているかは知りようがありませんが、とにかく下図のように排気ガスが新しい吸気に混ぜられているのです。
このEGR、ガソリンエンジンでもディーゼルエンジンでも行われていますが、最近の流行りは大容量クールドEGR。
つまり、冷やした大量の排気ガスを吸気側に戻しているのです。
またオシッコ健康法に話を戻すと、オシッコ入りの1.5リットルのペットボトルが冷蔵庫で冷やされているようなものでしょうか・・・(オエッ
なぜ大量の、冷やしたオシッコ・・・いや違います、排気ガスを戻すかと言うと、最高燃焼温度を下げるとか、ポンピングロスを減らすとか、様々あるのですが、今回はマツダ SKYAVTIV-Dの低圧縮比化に絞ってお話しします。
上の図のEGRは外部EGRと呼ばれます。
一度エンジンの外に出た排気ガスを、パイプを通して吸気側に戻すので外部EGR。
それに対してマツダ SKYAVTIV-Dが採用しているのが内部EGRです。
内部EGRは、吸気バルブが開いてエンジンが空気を吸い込んでる最中に、ちょこっとだけ排気バルブを開いて排気ガスをシリンダー内に戻すのです。
何故ソンナことをするのかと言えば・・・・・話がややこしくなってきたので、ちょっとまとめてみましょう。
そもそも、排ガス中のNOXを減らしたいことが始まりです。
NOXを減らしたい
↓
燃焼温度を下げたい
↓
圧縮比を下げたい
↓
圧縮比を下げると、シリンダー内の温度が上がらない
↓
冷間時始動ができない
↓
一度燃えて温度が上がった排気ガスをシリンダー内に戻してやる(EGR)
↓
シリンダー内温度が上がって冷間時始動もOK
♪ザ ロ~ング エン ワインディング ロォォォド♪
イヤ~、長く曲がりくねった道でした。
マツダのエンジニアは偉いです。
ワタクシメなど、こんなに道のりが長かったら、途中のどこかで目的と手段を取り違えてゴールにたどり着けないこと請け合いです。
ソンナコンナで苦労してようやく手にした低圧縮比ですが、さらなる利点もありました。
最初の目的であるNOXの低減はもちろん、燃焼の圧力も下がるので、あの嫌なガラガラ音も小さくなり、ピストンやコンロッドやクランクシャフトなど燃焼圧力を受ける部品を頑丈に作る必要がなくなったのでエンジンの回転もスムーズになり、オマケにエンジン自体も軽くなる。
さらに言えば、マツダ SKYAVTIV-Dは、煤煙を減らすために空燃比も薄くしたそうです。
圧縮比を下げてNOXが減り、エンジンも軽くなってスムーズに回転、ガラガラオンも小さくなり、そのうえ薄い空燃比で煤煙も減らした。
み~んなハッピーじゃないですか!
ホントか~ァ?
と疑うのはオッサンのイイところであります。
大体世の中、イイ事ずくめなんてあったためしがありません。
誰かが笑えば、他の誰かがなく。
そうやって世の中は出来ているのです。
そう、 聡明なオッサン読者諸兄はもうお気づきですね。
低圧縮比で燃焼圧力が下がり、さらに空燃比も薄いとなれば・・・
パワー足ンねんじゃね?
でも大丈夫。
1979年の430型 日産 セドリック/グロリアから平成12年排出ガス規制までの間に青春を過ごしたオッサンならパワー不足の対処法をご存じのはずです。
じゃあ、ターボ付けっぺ!
続く
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