ハイブリッド車のまとめ

- 第2回 トヨタのハイブリッド その2 -

2016/09/05 公開

ds あらたに開発されたシステムや構造の名前の付け方には3通りの方法があると、ワタクシメは考えます。
一つ目は「名は体を表す」方式。
名前の意味を考えると、ソレの構造や仕組みがナントナク想像できる名付け方です。
DOHCは、ダブル オーバー ヘッド カムシャフトですから、2本のカムシャフトがシリンダーヘッドの上にあることが想像できます。
ダブルウィッシュボーン形式のサスペンションは、ウィッシュボーンは鳥の胸骨ですので、鳥の胸骨形のサスペンションアームが2本使われていることが想像できます。
VTECはバリアブル バルブタイミング アンド リフト エレクトトニック コントロールなので、バルブタイミングとリフト量を電子制御していることが分かります。まあ、略し方に少々無理を感じますが・・・
二つ目は、開発者や考案者の名前が付いているもの。
ディーゼルエンジンはルドルフ ディーゼルさんが考案しましたし、マクファーソン ストラット式サスペンションはアール マクファーソンさんの考案です。
ちょっと変わったところでは、半独立懸架式リヤサスペンションのド ディオン アクスルです。
開発者はシャルル・トレパルドゥーさんだったのですが、彼の義兄が所属する自動車メーカー、ド ディオン ブートンの創始者であるアルベール ド ディオン伯爵の名前が付けられたのことです。
1890年代のフランスで、そこにドンナ人間関係が存在したのか・・・オモシロイ話です。

car1 今では乗用車の生産はやめてしまいましたが、1990年に発売されたいすゞ3代目ジェミニのリヤサスペンション形式はニシボリック サスペンションと呼ばれていました。
考案者はいすゞ自動車の西堀さん。
コーナーリング時のロール量によって、リアタイヤをフロントタイヤと同じ方向に切ったり、逆方向に切ったりする4WS機能をもったサスペンションでしたが、読んでいるコチラが気の毒に思ってしまうくらい、自動車雑誌ではケチョンケチョンに書かれていました。
三つ目の名付け方式は「リンかけ」方式です。
「リンかけ」とは、1977~1981年に週刊少年ジャンプに連載されたボクシング漫画、「リングにかけろ」であることは言うまでもありません。
中学校のボクシング部に所属する主人公・高嶺竜児が、様々なライバルを倒しながら成長していく漫画ですが、問題は登場人物の必殺パンチの名称です。
いくつか例を拾います。
スペシャル ローリング サンダー、ギャラクティカ マグナム、ブーメランテリオス、朱雀七色陣・・・などなど。
そりゃたしかに、大人になってしまえば飯を噴出しモノの名前です。
ただただ、カッコよく、勇ましく聞こえる単語を並べただけですから。

でも、しかしです。
そこで飯を噴出したオッサン!
アナタは少年のココロを失ってしまっています!
当時小学生であったワタクシメは、クラスメイトに何十発ものギャラクティカ マグナムをおみまいし、そして彼からは何十発ものブーメランテリオスをみまわされたものです。
そう、子供にとっては、血沸き肉躍る名前だったのです。

小学生には通用する「意味のないカッコいい単語」ですが、大人向けの商品にそんな単語が付いていると・・・まあ、眉をひそめますよね、フツー。
ですからナン百万もする、大人が買うクルマの部品に、まさかそんな名前が付けられているわけが・・・

1980年代に、トヨタのエンジンに「レーザー・エンジン」という愛称が付けられました。
ライトウエイト(light weight: 軽量)、アドバンスト(advanced: 進歩した)、スーパーレスポンス(super responce: 応答性が良い)エンジン(engine)の頭文字でLASRE(レーザー)。
当然、「レーザー ビーム」の「レーザー」に掛けていることは間違いないでしょう。
だって当時、「レーザー」って音の響きはとても未来的で、カッコよかったですから。

トヨタと張り合っていた日産も負けてはいません。
トヨタのレーザーエンジンに対して日産は「プラズマ エンジン」。
プラズマって・・・(WW

しばらく遅れて1986年、三菱がやります。その名も「サイクロン エンジン」。
プラズマもサイクロンも、「リンかけ」臭がプンプンします。
ただし三菱については、サイクロンの前から、サターン、アストロン、オリオン、シリウスと、エンジンに愛称を付けていたようですが・・・。

1989年に登場した日産 マーチ スーパーターボ(EK10型)に搭載されたMA09ERTエンジンは、スーパーチャージャーとターボチャージャーの2段掛けでした。
スーパーチャージャーとターボだから、「スーパーターボ」は理解できないでもありませんが、「スーパー」と付いた瞬間に「リンかけ」臭が漂い始めます。
1991年のトヨタ カローラレビン、スプリンタートレノ(AE101型)のフロントサスペンションに採用された「スーパーストラット」や、1997年に日産が採用したハイパーCVTも同じ穴です。

しかしワタクシメ思うに、最強「リンかけ」臭は三菱のMIVECエンジンにトドメを刺します。

Mitsubishi Intelligent & Innovative Valve timing & lift Electronic Control system:ミツビシ インテリジェント アンド イノヴェイティヴ バルブタイミング アンド リフト エレトクロニック コントロール システム

知的能力を持った、革新的な、バルブタイミングとリフト量 電子制御装置・・・・
自分で自分のことを知的だとか、革新的だとかいうヤツにろくな人間は・・・

時は流れ2016年。
たとえば新型の日産セレナに搭載されている、アクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違いによる事故を防止する機能の名称は「踏み間違い衝突防止アシスト」。
ナンとも潔いではありませんか!
誰がどう読んでも、何のための装置なのかが一目瞭然!
まあ、長くなってしまうのが玉に疵ではありますが・・・

「レーザー」とか「イノヴェイティヴ」という、カッコ良さげな語感のカタカナを有り難がっていたあの頃より、「踏み間違い衝突防止アシスト」という名前を受け入れる今の我々の方が、消費者として成熟しているのでしょうか・・・
・・・的な締め括りをするつもりであったのですが、ワタクシメ、重大なことに気づいてしまいました。
スーパーストラットとか、ハイパーCVTとか、意味不明ではありましたが、確かにカッコよかった。
未成熟な消費者である我々も、ソレを望んでいたに違いない。
一方、「踏み間違い衝突防止アシスト」は猛烈に分かりやすくはありますが、カッコよさの片鱗もない。
それはおそらく、成熟した消費者である我々が、クルマにカッコよさを求めなくなってしまったからではないでしょうか?
どうやら我々は、カッコいいクルマに憧れなくなってしまったのではないでしょうか?
クルマにカッコよさを求めなくなってしまったのではないでしょうか?
なんだかそれが、クルマが売れなくなってしまった理由の本質であるように思えてなりません。

うわ~ッ、ルパンを追っていて、トンでもないものを見つけてしまった!(銭形警部談)




2速変速機付 THS Ⅱ

ようやく本題に戻ります。
car2 2006年、トヨタはTHS Ⅱに2段変速機を追加したシステムをレクサスGS450Lに採用しました。
この変速機付はFRの大トルクエンジン搭載車用に開発されました。
エンジンのトルクがデカい



モーターも大トルクが必要



でもスペースには限りがあってデカいモーターは詰めない



変速機を付けて、必要に応じてトルクを増大させよう

という考え方らしいです。

構造は、減速機対THS Ⅱの減速機部分を2速変速機に置き換えた形です。
ただしFR用なので、タイヤ側への出力は、動力分割機のインターナルギアからではなく、システム後端の軸から行います。


変速機はラビニヨ式のプラネタリーギアで、以下に変速の作動を載せます。



平行軸式減速付 THS Ⅱ


Webはもちろんのこと、新聞やテレビ、雑誌がいつでも本当のコトを伝えてくれるという幻想は、もう誰もお持ちではないと思います。
マスコミだけでなく、専門家、ジャーナリスト、科学者・・・誰が本当の事を言っているのか、誰が間違っているのか、誰が意図的に真実と異なる事を主張しているのか、もうワケが分かりません。
そうそう、弊サイトも、最も信用してはならないWeb上の情報ですので、皆様クレグレもお気をつけあそばせくださいまし。
まあ、意図的に違ったことを書いている意識はないのですが・・・(ニガ笑

prius4 4代目プリウス(ZVW50型)のデビュー前、Webのニュースサイトやら自動車雑誌には
「新型のハイブリッドシステムは刷新されて平行軸式となる」
という類の記事を多く見かけました。
今日でも、ちょっとググると、「次期プリウスに搭載されるTHSⅢでは遊星ギアが廃止され平行ギアを採用」なんて記事も見つかります。

ををを! あのコロンブスの卵的なプラネタリーギアの動力分割装置を止めるとは、次はどんなビックリメカニズムなんだ?!
と、ワタクシメは色めき立ちましたが、発売の2か月ほど前にトヨタが発表した技術情報に、落胆しました。
それによると
「モーターの複軸配置やリダクションギアの平行軸歯車化などにより、従来型に対して小型化。遊星歯車から平行軸歯車の変更は、約20%の低損失化に貢献。」
<>br> ぱっと見、新しい仕組みが導入されるようにも見えますが、よく読めば平行軸になるのはリダクションギア、つまり減速装置の方です。
イラストにすると、右側の減速機構が・・・

ths2

プラネタリーギアを止めて、平行軸の減速ギアに替わっただけ・・・

parallel_02

ガッカリしました・・・。
まあ、トヨタが悪いわけではありませんけれど・・・
が、それだけプラネタリーギア式の動力分割装置が優れているとの証でもあるのでしょうから、ここは初代THSを生み出したトヨタに拍手を送りましょう。パチパチパチ



マルチステージ ハイブリッド

ここでヨーヤク、冒頭部分につながります。
「スーパー」とか「ハイパー」と同じように「マルチ」にも「リンかけ」臭を感じるのはワタクシメだけでしょうか?
クラウン ハイブリッドのカタログも「2段変速式リダクション機構付きのTHS Ⅱ」と謳っているのですから、いまさら「マルチ」とかヤメて「多段変速式リダクション機構付きのTHS Ⅱ」でイイではないですか!
もう、消費者はクルマのシステムの名前に「リンかけ」は求めていませんヨ!

lc500 ちなみに、マルチステージ ハイブリッドが採用されるのは2017年春ごろに発売が予定されているレクサス LC500hです。
したがって現時点では詳細は全く分かりません。
が、ソーゾーするに、2速変速機付 THS Ⅱの2速の部分を3速とか4速に増やしてくるのではないかと考えています。
詳細が分かり次第、このページに追加する予定です。

マルチステージハイブリット ティーエイチエス トゥゥゥゥゥ~

と、ワタクシメは幼馴染の太田君に強烈な右アッパーを放ちます。
太田君はランドセルをガチャガチャ言わせながら、5メートルも宙を舞った体でヨレヨレと倒れこみます。
「勝負あったな・・・」
ワタクシメはクールに言葉を残して、青のコーナーポスト代わりの掃除用具入れに向かいます。
「ま・・・待て・・・」
体中血まみれの気分で、太田君は立ち上がり、

ミツビシ インテリジェント アンド イノヴェイティヴ バルブタイミング アンド リフト エレトクロニック コントロール システムゥゥゥゥ~

と叫びながら、凄まじい破壊力の右フックをワタクシメの横腹に炸裂させます。

この勝負、太田君の勝ちです。


トヨタに大分差を付けられてしまった感がありますが、次回はハイブリットのもう一方の雄であるホンダのハイブリッドを考えてみます。

続く


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