ハイブリッド車のまとめ
- 第1回 トヨタのハイブリッド その1 -
2016/08/30 公開
2016/08/31 改訂
「ポリティカル コレクトネス」という言葉があります。
とある自動車メーカーが新たに開発したハイブリッド技術・・・というわけではありません。
「政治的、社会的に公正、公平、中立的で、なおかつ差別や偏見が含まれていない言葉や用語のこと」だそうです。
ちょっと例を挙げてみると、
「看護婦」 → 「看護士」
「スチュワーデス」 → 「CA」
などがコレに当たり、看護婦やスチュワーデスでは女性を意味してしまうので、それは差別的であろう、と言うわけらしいです。
そーいえば、もっと大昔には「後進国」 → 「発展途上国」、「裏日本」 → 「日本海側」なんて変更もありましたが、それらもこの考え方に沿うものかもしれません。
訂正
2016/08/31
読者の方より間違いのご指摘をいただきました。
その昔、女性の看護師さんは「看護婦」、男性の看護師さんは「看護士」と呼ばれていたそうです。
訂正して、お詫び申し上げます。
たしか中学2年生であったと記憶しているのですが、ワタクシメ、盲腸で入院しました。
手術中の麻酔があまり効かず、「イテ~、イテ~」と呻っていたら、執刀医の先生に「ウルサイッ!」と怒られたことと、ピンクレディーのミーちゃんに似た看護師さんが毎日採血にやってきたことだけははっきり記憶しています。
ナンカ・・・コーフンしたなァ~、ミーちゃん似の看護師さん・・・。
しかしあれから幾年月。
今ではミーちゃんだろうが、壇蜜だろうが、あるいは北川景子であろうが、血は取られたくはありません。
ドーせ、一週間後に届く書類には
γ-GTPがァー
とか
中性脂肪がァー
と書いてあるに違いないのですから・・・トホホ
話はハイブリッドです。
今回扱うプリウスのハイブリッドは、大別するとストロング ハイブリッドという区分けに入ります。
ストロング・・・
と聞いてピンと来るのは、ワタクシメより先輩オッサンならストロング金剛、ワタクシメと同世代ならスーパーストロングマシンであることに疑いはありません。(プロレスネタデス)
しかしハイブリッド車の場合、モーターのみでの走行が可能なクルマがストロング ハイブリッドとなります。
となれば、モーターはエンジンのアシストのみで、モーターだけの力で走ることのできないハイブリッド車はウィーク ハイブリッド・・・
とならないのは、おそらくポリティカル コレクトネスに違いありません。
かつて日本海側に住まわれている方々が「裏とはなにゴトだァー!!」と怒声を上げたのと同様、モーターのみでは走れないハイブリッド車を開発したメーカーの人々が1万人ほど(主催者発表)が国土交通省の前に集い、
「弱いハイブリッドとはなにゴトだァー!!」
とシュプレヒコールを上げたに違いないのです。
まっ、そんなニュースを見た記憶はありませんが・・・
その結果、モーターのみで走れるハイブリッド車はストロング ハイブリッド、モーターのみで走れないハイブリッド車はマイルド ハイブリッドで落ち着きました。
ちなみにこの呼び名、国土交通省で決めたわけではないと思います・・・タブン
もう一つの区分の仕方が、シリーズ ハイブリッド、パラレル ハイブリッド、シリーズ・パラレル ハイブリッドです。
直訳すれば、直列ハイブリッド、並列ハイブリッド、直列並列ハイブリッドとなります。
まずはシリーズ方式。
エンジンは発電のみに用いられて、走行はモーターが担います。
電気自動車(EV)に走行距離延長用にエンジンと発電機を積んだ方式とも言えます。
ちなみにEV車に積まれた走行距離延長用エンジンと発電機をレンジエクステンダーなんて呼びます。
動力の流れが、エンジン → 発電機 → バッテリー → モーター と直列になっているので、こう呼ばれているそうです。
お次はパラレル式。
現在のほとんどのハイブリッド車がこの区分に入れられます。
エンジンからの動力と、バッテリー/モーターからの動力が並列になっいるのでこう呼ばれるのでしょう。
最後がシリーズ・パラレル方式
シリーズ方式とパラレル方式両方の機能を持ち合わせるから、シリーズ・パラレル方式・・・チョット安直すぎないでしょうか?
だって直列・並列方式なんて、「黒い白い犬」みたいで、意味が解りません。
ワタクシメ思うに、きっとここにもポリティカル コレクトネスが・・・ンなワケないか・・・(笑
しかしさすがに、直列・並列はまずいと考えた方がいるようで、スプリット方式とかコンバイン方式なんて呼び方もあります。
今回取り上げるトヨタのハイブリッドはこのシリーズ・パラレル方式で、かつストロング ハイブリッドです。
THSに関しては、
コチラに詳しく書きましたので、ココではリンク先をご一読いただいてあるという前提で話を進めてしまいますので、ご了承ください。
言うまでもなく、THSは世界初のハイブリッド車である初代NHW10型プリウス(1997年)に採用されました。
まずは構造です。
THSは、エンジン、発電機、1組のプラネタリーギア、モーターから構成されています。
続いて作動です
上のアニメーションではATに喩えていますが、実際には無段階で変速されます。
訂正
2016/08/31
読者の方より間違いのご指摘をいただきました。
上のアニメーションの「加速時」の部分で(赤で取り消し線を入れてあります)、当初は発電機を空回りさせると書いてしまいましたが、発電機につながるサンギアを空転させると、エンジン動力がプラネタリーキャリアからインターナルギアに伝わりません。
正しくは、「発電機である程度発電させ、サンギアに相当の負荷をかける」となります。
訂正して、お詫び申し上げます。
また、発電機にバッテリーから電気を流してモーターとして逆回転させると、さらに高いギアになるという制御をしていることも教えていただきましたので、アニメーション内に追加いたしました。
さらにさらに、ワタクシメ、下記のTHSⅡとリダクション機能付きTHSⅡを混同しておりました。
基本的な部分の間違いなので、ここから下の部分は取り消し線では済まないくらいの大幅改訂となってしまいました。
すでにご一読くだっさた読者の方には大変ご足労ですが、もうご一読いただけると幸甚です。
重ねてお詫び申し上げます。
2003年に登場した2代目NHW20型には進化したTHSⅡが採用されました。
THSⅡではエンジンやモーターの出力強化、作動電圧の高圧化などが行われました。
2009年登場の3代目ZVW30型プリウスではモーターが大幅に変更されました。
2代目のモーター最大トルクは、400N・m。
3代目は207N・m。
なんと、旧型の半分のトルクしかありません・・・ドーイウコトダ?
安心してください。
2代目モーターの最高回転数は6400rpmですが、3代目は13900rpmもブン回ります!
をををっ! 14000rmpって、F-1エンジンか、ヤマハFZR250のエンジンみたいじゃないですか!
ちなみにググったら、1989年式・FZR250のタコメーターは21000rpmまで刻まれているそうです・・・懐かしくも恐ろしい・・・。
プリウスに戻ります。
モーターの最大トルクは、モーターの大きさや重さとほぼ比例するそうです。
なので、トヨタは小さくて、軽くて、でもトルクが小さくて、しかしながら高回転のモーターを選んだわけです。
となると、小さくなったトルクを何とかしなきゃならない。
そう、減速機です。
モーターとエンジン間の動力分割装置にモーターのトルクを増大させるための減速機が加えられたのです。
構造は、動力分割装置にさらにプラネタリーギアセットを1組追加しています。
作動もTHS、THSⅡに準じていますが、インターナルギアからタイヤへ出力される回転数に対してモーター回転数が高いのがミソです。
THSも初代から数えて3代目になったわけですが、4代目ZVW50型ではドーなったのでしょうか?
また、FR車のハイブリッドはドーなっているのか?
トヨタ ハイブリッド システム、まだまだ進化を続けます。
続く
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