ハイブリッドのまとめ
- 序章 -
2016/08/26 公開
かつて、と言ってもそんなオー昔ではありません。つい10年~20年前の話です。(アレ、オー昔かな・・・?)
中・大型ジェット旅客機のエンジン搭載位置にはいくつかの種類がありました。
右の写真は上から、マクダネル ダグラス MD-90。エンジンは機体後部に2基あります。
次が同 MD-11。エンジンは両翼に1基ずつと機体後部に1基の計3発。
さらにボーイング 747。エンジンは両翼に2基ずつの計4発。
最下段が同777です。エンジンは両翼に1基ずつの計2発。
今日では、ボーイング 777タイプの2発機が大半を占めております。
マクダネル ダグラス社がボーイング社に合併されたこともありますが、MD-90、MD-11のエンジン・リヤマウントタイプは2000年に生産中止となりました。
また、4発機も今や風前の灯で、2016年8月現在、ボーイング747は生産中止の可能性がささやかれていますし、エアバス A380も2018年に生産終了が予定されています。
ジェット旅客機は高価で、普通は10年とか20年は使うのでしょうから、すぐに空から消えてしまうわけではありませんが、寂しいものです。
(実際、ワタクシメが最も美しいと信じて疑わないMD-11、生産中止から16年経ちますが、物流会社のFedEx(フェディックス)が中古MD-11を大量買い付けして運用しているので、まだまだたくさん見かけることができます。ありがとう、FedEx!)
747やA380の生産中止から20年も経つと(路線の需要によってはもっと早いかもしれません)、どこの空港に行っても同じような2発機だけで、航空マニアでもない限りもはや機種の判別は難しくなります。
「あれは・・・スイス航空のMD-11だ。離陸中のは・・・おお! キャセイバシフィックの777-200か。タキシング中のはエア タヒチ ヌイの747-300だ、古ッ!」
搭乗待ちの間、展望台でそんな楽しみが昔はありましたが、今後は少なくなる一方です。
技術の進歩程度や社会の要請などで、落ち着くとことに落ち着き、どうやら多様性は失われていくようです。
クルマのエンジンのシリンダー配列も同じ傾向です。
スパーカーブーム以降のエンジンで、思いつくまま上げてみます。(ガソリンエンジン)
- 直列2気筒
- 直列3気筒
- 直列4気筒
- 直列5気筒(ホンダ、ボルボ、 アウディ、フィアット、フォルクスワーゲン、ランチャ、などなど)
- 直列6気筒
- V型6気筒
- 狭角V型6気筒(VR6: フォルクスワーゲン)
- V型8気筒
- V型10気筒(BMW、アウディ、ランボルギーニなど)
- V型12気筒
- V型16気筒(チゼータ)
- 水平対向4気筒
- 水平対向6気筒
- 水平対向12気筒
- W型12気筒(フォルクスワーゲン)
- ロータリー(2ローター、3ローター)
チゼータなんて少々反則的ではありますが、とにかくコレだけの種類のエンジンが売られていました。
で、2016年に新車で買うことのできるエンジンは主に、
- 直列3気筒
- 直列4気筒
- V型6気筒
- V型8気筒
- 水平対向4気筒
- 水平対向6気筒
意図的にそうしているのですが、上の一覧と下の一覧は同条件ではありません。
上のは少数生産車も含んでいますし、下のはメジャーどころのみです。
如何にエンジン形式が減ってしまったかを強調するための「捏造」ではなく「演出」とご理解いただければ幸いです(笑
たとえば現在でも、フィアット 500には2気筒車があります。しかしかつて軒並み2気筒であった日本の軽自動車は、すべて3気筒に置き換えられています。
12気筒車もフェラーリーやランボルギーニのフラッグシップのみ。
トヨタ センチュリーもV型12気筒ですが、次のモデルチェンジでは8気筒という噂です。
V型10気筒もランボルギーニ ウラカンくらい・・・
直列5気筒はアウディ RS3くらい・・・
ロータリーは消滅。
そしてなにより、「超」のつかない普通の高級車には必ず搭載されていた直列6気筒は全滅。
かつて、と言ってもそんなオー昔ではありません。つい10年~20年前の話です。(アレ、オー昔かな・・・?)
エンジンのシリンダー数は多ければ多いほど偉かったのです。
4気筒より6気筒、6気筒より8気筒。2ローターより3ローターと・・・。
4気筒並の大きさで6気筒並の性能が手に入りそうな幻想があったから5気筒がありました。
また4気筒並みの大きさで6気筒や12気筒を手に入れた、狭角V型6気筒やW型12気筒もありました。
余談ですが、W型12気筒のフォルクスワーゲン フェートンは、ちょっと前までドイツでは売っていたようですが、ググってみたところ、ついに生産中止になりそうです。
ドイツのフォルクス ワーゲンのサイトに「Vorlaufiger Abschied vom Phaeton.」とありました。
お恥ずかしながら、ワタクシメ、ドイツ語はチンプンカンプンです。
で、頼りになるのがインターネット。
google翻訳とによると「フェートンに予備別れ」。
yahoo翻訳だと「フェートンの一時的な辞任」。
だそうです。
まあ、「次期モデルの発売まで現行モデルは作らないよ」ということなのでしょう。
これで、W12気筒も消えました。
ソンなコンなで、「多ければ偉い」の風潮は変わりました。
もちろん原因はCO2。
CO2の排出量を低下させるためには効率化の必要があります。
効率化するためには、排気量を減らし、シリンダーの数を減らし、回転数を下げ、ターボで過給が今のトレンドです。
V型12気筒・6,000ccは、4,000ccのV型8気筒ターボへ
V型6気筒・3,000ccは、2,000ccの直列4気筒ターボへ、
直列4気筒・2,000ccは、1,400ccの直列3気筒ターボへ
ちなみに直列6気筒は、このダウンサイジングブームの始まる前に姿を消していました。
理由は安全性が主です。
クルマが正面衝突してしまった場合、エンジンルームは潰れて衝突のエネルギーを吸収し、車室は堅牢に作られていて乗員を保護、というのが今の衝突安全性の考え方です。
うまく潰れなければならないエンジンルームに、長~い直列6気筒エンジンが鎮座なされていらっしゃると、エンジンルームを潰そうにも潰れない。
そんな理由で長い直列6気筒が避けられ、短いV型6気筒が主流になったようです。
さらに余談が続きます。
シリンダー配置と同様、イエ、こちらはもっとダイナミックに淘汰が行われました。
自動車メーカーの統廃合です。
70年代以前、それはさらにダイナミックであったようですが、ワタクシメはリアルタイムで体験していませんし、正直なところダイナミックすぎてわけがわかりません。
というわけで、1980年以降の、ワタクシメがテキトーに選んだ自動車メーカーの統廃合年表です。
太線は独立している期間、または合併や資本統合の「親」になっている期間。細線は支配されている期間を表しています。
相手メーカーに経営的に支配される関係のみで、小額株の持ち合いや技術提携などは加味していません。
えッ? わかりずらい・・・?
スミマセン、謝ります。
でも許してください。元々わかりにくいんです!
あまり興味のないオッサンは、「ずいぶんグチャグチャしてるんだなあ・・・」程度に、
かつて新聞の経済面を賑わせたニュースとご自身の人生を重ね合わせて振り返りたいオッサンは、各線を指でなぞりながらご覧ください。
この表を見る限り、もっとも過酷な人生(社生?)を送ったのはランドローバーと三菱ではないでしょうか。
ランドローバーは、1980年当時には国策会社のBLMC傘下でしたが、1994年にミニを含むローバーとともにBMWに買収されます。
2000年にBMWから三行半を突きつけられ、ローバーはそのまま破産へ(現在は中国資本)。
ミニだけはBMWに残り、ランドローバーはフォードへ身売り。
さらに、そのフォードからも2008年に見捨てられ、現在ではインド タタ社の下でジャガーとともに、ジャガーランドローバーとして存続しています。
三菱はもっと悲壮感があります。
1970年、三菱重工から独立し、クライスラーとの合弁会社として誕生します。
1993年、クライスラーから三行半。
その後、生き残りをかけ2000年にダイムラークライスラー傘下に。
2005年、リコール隠し問題を発端に三行半。
しばらく独身を貫きますが、2016年の燃費偽装事件でルノー日産グループの傘下に。
フォードとかクライスラーとか、米メーカーはヒデェーな・・・と思いきや、
そのクライスラーも1996年にダイムラーと対等合併し、ダイムラークライスラーを設立したものの、英単語のKnife(ナイフ)の「k」のように、ダイムラークライスラーの「クライスラー」の部分は発音しない、というジョークが生まれる始末。
で、あえなく2007年に捨てられます。
そう、本当の悪はドイツなのです!(エマニエル トッド談)
「ドイツ帝国が世界を破滅させる 日本人への警告」 参照 (諸説あり: ワタクシメ談)
冗談はさて置き、この年表に登場する自動車メーカーは32社。
そのうち2016年現在で独立しているホンダ、マツダ、ベンツ、スズキ、GMの5社と、中国、インド資本傘下をのぞくと、フォード系、BMW系、フォルクスワーゲン系、FCA(クライスラーとフィアット)、ルノー日産、PSA(プジョーとシトロエン)の6グループに分けられそうです。
言い換えると、32社は、5社と6つのグループに統廃合されて1/3になってしまったわけです。
技術も企業も、創生期から中期にかけては百花繚乱、さまざまな技術や企業が現れ、そして消えていきます。
長~い、長い前フリを終え、ようやく本題です。
1997年、NHW10型プリウスの登場によって、ハイブリッドの歴史が始まりました。
2016年の今が創生期なのか中期なのか、それは後になってみてからでなければわかりませんが、さまざまな技術が登場しては消えている時期にあることは間違いがありません。
大きく分けても、シリーズ ハイブリッド、パラレル ハイブリッド、シリーズ・パラレル ハイブリッドとか、ストロング ハイブリッド、マイルド ハイブリッド。
結局実現しませんでしたが、PSAが開発を試みた電気ではなく圧縮空気を使うハイブリッドなどなど。
ワタクシメ、ナニが幸せって、咲いては萎み、咲いては萎む新しい技術をリアルタイムで体験できるなんて・・・そうそう出会えるタイミングではありません。
というわけで、次回から各社、各車のハイブリッドシステムを見ていきます!
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i-Tasuは教育機関向けなので、このサイトを覗いていただいている読者方々の大部分にはあまり関係がないかと思いますが、
「ふーン、こんなのもあるんだァ」
くらいに思っていただけると幸いであります。
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続く
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