オートマのまとめ

- 第9回 CVT その2-

2015/05/11 公開

さてさて、最近の国産の新車、ぜーんぶCVTのイメージがあります。
で、調べてみたのが以下の表です。

 メーカー   車名    CVT    ステップAT    MT     DCT  
トヨタIQ
iSt
ヴィッツ
オーリス
カローラ ルミオン
スペイド
パッソ
bB
ポルテ
ラクティス
アイシス
アルファード
WISH
ベルファイア
ヴォクシー
エスティマ
シエンタ
ノア
ハイエースワゴン
カローラ
アリオン
クラウン
センチュリー
プレミオ
Mark X
アベンシス
FJクルーザー
ハリアー
RAV4
Rush
ランドクルーザー
ランドクルーザー 70
ランドクルーザー プラド
86
レクサスLS
GS
IS
RC
RX
NX
日産ジューク
ノート
キューブ
マーチ
エルグランド
セレナ
ラフェスタ
ウィングロード
GTR
スカイライン クーペ
フェアレディZ
スカイライン クロスオーバー
エクストレイル
フーガ
スカイライン
ティアナ
シルフィ
ラティオ
ホンダオデッセイ
ステップワゴン
フリード
フィット
マツダデミオ
ベリーサ
アクセラ
アテンザ
CX-3
CX-5
プレマシー
ビアンテ
MPV
ロードスター
スバルレガシー
レヴォーグ
WRX
インプレッサ
XV
フォレスター
クロスオーバー7
BRZ
トレシア
三菱RVR
アウトランダー
パジェロ
デリカD-3
デリカD-5
デリカD-2
ミラージュ
ディグニティ
ランサー

なお、上表は以下の条件にて作成しました。あらかじめご了承ください。
  • 2015年4月 各社Webサイトの主要緒元を参照。
  • ハイブリッド車はすべて除く。
  • ワタクシメの勉強不足でOEM車はチンプンカンプン故、各社サイトそのままに掲載。
  • 上記と同理由により、軽自動車はすべて割愛。

表をサーッと眺めてみると、本題から外れますが、思ったよりMT車が多いことに気づきます。
小排気量のハッチバック車のスポーツバージョン、スポーツカーが主でしょうか。
例外はマツダで、ここ数年に販売が開始されたクルマには、ほぼもれなくMTが設定されています。
さらに例外は、カローラとフォレスターですね。
MTの需要なんてあるのでしょうか?
まあ、あるから設定されているのでしょうが、ちょっと意外でした。

さて、本題のCVTです。
数えてみますと、CVT設定車が53車種、ステップAT設定車が41車種でした。
ステップATが設定されている車種の特徴は
  • 小排気量車では、設計年次が古い車種。
  • 大排気量車。
  • レクサス車、マツダ車。
と区分していいかと思います。

CVT車が登場したての頃、CVTはリッターカークラスにしか搭載されていませんでした。
これは、当時のベルトが大きな力には耐えられないため、高トルクのエンジンを搭載したクルマには採用できなかったのです。
しかし、スバル ジャスティからおよそ30年。
日産 エルグランドでは

VQ35DEエンジンの344N-m(ムカシ風にいえば35.1kgf-m)もの大トルクを、

スバル レヴォーグでは

FA20エンジンの400N-m(40.8kgf-m)もの大トルクを

受け止めるまでに進化しました。
ちなみに1987年のジャスティに搭載されたEF12型は95N-m(9.69kgf-m)なので、隔世の感があります。
って、30年も経っていれば世も隔たるだろうが、というツッコミはおっしゃっる通りではあるのですが、
さすがに昨日のこととは申しませんが、自分が知っている出来事がそんなにも昔のことだとは認めたくない気持ちは、オッサンの方々ならご理解いただけると信じております。

もうすこし、表を細かく見てみます。
ここ数年間でフルモデルチェンジした車種のうち、ステップ式ATが搭載されているものを探してみましょう。
ただし、ステップ式にこだわりがありそうなレクサスとマツダは除きます。
  • アルファード/ヴェルファイア
  • クラウン
  • スカイライン/フーガ
だけのようです。
このうち、スカイライン/フーガのステップ式AT車は、ベンツのエンジンとトランスミッションを搭載しているので除外すると、
残りは、トヨタの3.5リッター以上のクルマのみ、ということになってしまいます。
ということは、トヨタの3.5リットル以上と、マツダ車、レクサス車を除けば、今後フルモデルチェンジ、あるいは新登場するクルマはすべてCVTになると言っても過言ではないことになります。
いったい、ドーして日本のメーカーはこんなにもCVTが好きなのでしょう?

生産設備とか、投資回収とかというオトナの事情を除けば、その答えはズバリ

燃費

です。
前回に、CVTジャスティが米国で年連続で燃費ベストカーに選ばれたことに触れましたが、このCVT、燃費がイイらしい。
で、どのくらいイイかと言えば、
ちょうど比較できる、CVTとマニュアルトランスミッションのグレードのある車種がありました。
スバル フォレスターです。
エンジンはFB20、2,000ccのDOHC水平対向4気筒エンジンで、細かなセッティングの違いはあるかもしれませんが、同型式エンジンを搭載しています。
アイドルストップ無のグレードで比較すると、CVT:14.4km/L、6MTが13.4km/L。

あァァ、圧倒的じゃないか・・・(アムロ風)

ピッタリ同じエンジンで、7%も差があるのです。
「燃費が悪く、遅いオートマ」は完全に昔の話となりました。
では何故、CVTは燃費が良いのでしょう。
エンジンの使い方に秘密があります。
あるN/AエンジンにCVTとMTを取り付けた場合を考えてみましょう。
このエンジンは、3,000rpm付近で最も燃費効率が良いとします。

graph1 まずはMTやステップ式ATなどの段付きミッションの場合。
車速の上がり具合が一定でも、トランスミッションが変速するたび、エンジン回転は上がったり下がったりします。
となると、燃費効率が良い回転域から出てしまうこともしばしば・・・。

graph2 で、次がCVTの場合。
アクセルを踏んだら、エンジン回転数を燃費効率の良い領域まで上げて、あとはそのままCVTのプーリー比を変えて変速する。
なるほど、これなら加速中全域において、エンジン回転数を燃費効率が良い領域にとどめておくことができます。
もうちょっと具体的に言うと、
信号が青になった → アクセルを踏む →エンジン回転が3,000rpmまで上がる → 3,000rpmのまま車速が上がる
となります。


さあ、これでCVTが燃費が良い理由がわかりました。
が、新たな疑問が湧き出します。
日本車だろうが、欧州車だろうが、米国車だろうが、今や流行の最先端は低燃費、低二酸化炭素排出です。
であるのに関わらず、こんなに燃費の良いCVTが、ナニゆえ日本車以外では流行らないのか・・・?
その答えは次回に・・・

続く


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